◇
「さて、どうしたもんかな……この状況は」
俺は独り言に近い声の大きさで呟く。
「う〜ん、どうしちゃったんだろうねこの状況は……」
あはは、と自嘲気味に笑うシャル、と言うかさっきの聞こえていたのか。
先ほどまではあんなに笑い合える時間だったって言うのにこんなことになるなんてな……
結局、あの後ことごとく四人に追い回された挙句、現在はショッピングモールの一階
洋服なんかがそろうフロアにいるのだがどうにも出口で先回りされている
「多分、ISのプライベートチャンネルを使っているのかもしれないね」
「確かプライベートチャンネルって……」
(えっと……専用機のIS操縦者は国際規約、そして現在はIS学園の生徒だ。
学園の規約に違反すること間違いなしだろう。)
「「はあぁ…」」
二人してため息、幸せが逃げてしまう…
「とにかく!このお店から逃げ延びなきゃね!」
ため息を同時についたシャルがあわてて言う。
「そうだな、何か作戦を立てるか!」
こうしちゃいられないよな!なんとしても見つからないように逃げなければ!
(まず、状況から判断しよう)
「えっと、まず専用機持ちが三人、きっとラウラに鈴、セシリアで間違いないはずだよ」
シャルが分析を開始する。
こういうときは冷静になるがもっとも重要だ。
これもIS学園に入ってから身についた知識、俺って勤勉だな!うん。
「この三人はプライベートチャンネルを通じて互いに会話してるんだったな」
「そうだね、きっと一夏も他のISの起動状況をハイパーセンサーにかければ近くにいることがわかると思う」
そういわれて意識を白式に傾ける。
(このぐらいの起動なら他の専用機に引っかかることは無いって勉強済みだ!)
「本当だ……専用機が三機、しかも全員が潜伏モードだ」
確かにここまで手が込んでるのはセシリアかラウラがいてのものだろうな。
「三人か、厄介だな…」
「多分、三人ともセンサーを使いつつ探し回っているんだろうね」
きっと鈴が道案内してるに違いない、なにせ俺が中学のとき何度も一緒に遊びに来てるからだ。
「囮作戦をとったほうがいいね」
ドラマなどでは定番の作戦だ、これが上策とはあまり思いたくないな……
だが、俺もそれしか思いつかなかった。つくづく無力だな、俺。
「よし、そうするか、作戦の内容は?」
「うん、内容はシンプルだよ、僕が囮になってみんながひきつけられてる間に一夏が逃げる
きっと三人には一人で買い物に来たって言えば大丈夫だから」
「わかった、その後は?」
「その後は連絡か何か取り合って合流にしようかな?」
それでokだと確認し終わったあと、行動にかかる。
◇
一方、乙女四人組
<こちらラウラ・ボーデヴィッヒ、定時連絡を>
プライベートチャンネルで鈴とセシリアに問いかける。
<こちらセシリア・オルコット、特に異常はありませんわ>
<こちら凰鈴音、異常はないわね>
定時連絡をするあたりさながら軍隊仕込である。
それぞれ三人とも潜伏モードで事を進めつつ目を皿にして探す。
「逃げ足の速いことですわね…」
<まったくだわね>
何気ない一言を発したセシリアだがチャンネルを切るのを忘れていたため
鈴に聞こえていたらしく鈴が答えを返す。
<それにしても、この専用機二人の反応はそうなのかしらね?>
気にかけず会話を始める鈴
「考えたくありませんがそうでしょうね」
落ち込んだ雰囲気でしゃべるセシリア
<ま、見つけたら一夏はただじゃすまさないわ!>
((その後介抱して二人っきりになれれば万々歳…))
「そうですわね、一夏さんには覚悟を決めてもらいましょう」
そう二人は考えると気力が湧いてきたのだった。
「まったく、一夏の奴はどこへいったのだ」
一人専用機を持たない篠ノ之箒は三人に加われず愚痴をこぼす。
(い、一夏の奴は私よりもシャルロットをえらんだのか?)
(ち、違う!断じて違う!)
と言う自問自答を繰り返しながら一階フロアを探す。
心は半分泣きかけ始めている箒。
(かれこれ二時間近くたったな、まだ見つからないようだ)
この後に及んで少し馬鹿馬鹿しくなってくる箒。
◆
「じゃあ一夏、作戦通りに進めるよ?」
準備が整った俺とシャルは作戦に取り掛かろうとしていた。
「了解!じゃあシャル、また後でな!」
囮作戦の実行開始させる、総員!全力で戦え!
「うん、頑張ってね!」
「おう!シャルも頑張れよ!」
二人とも喫茶店を出て背を向けて走りだす。
(シャルなら事を上手く進めてくれるはずだ、俺も頑張らなきゃな!)
作戦はいたってシンプルだ。
俺は一階フロア内で見つからないように潜伏、その間シャルがラウラに自ら発見される。
この作戦はシャルがラウラに見つかるって言うのが肝なんだよな…
シャルの予想だとラウラ軍隊同様はプライベートチャンネルを使って他の二人に連絡を入れるはず。
鈴とセシリアが合流してシャルが説明してる間に俺が店外へ逃げる、もちろん俺とシャルの間で
プライベートチャンネルを使っての事だ。
これぞシンプルイズベストってやつだな、うん。
程なくして上手くいったシャルから連絡が入る。
<一夏?上手くいったから今のうちにお店から外に逃げて!えっと…北側の出口からがいいと思う!>
<了解、サンキューな!シャル>
<いえいえ、後でね、一夏>
事を終えたかの様に俺は蒸し暑い外へと逃げる。熱いなぁ…
途中、箒がチラッと見えて焦りを覚えたが難なく出られてよかったな。
あとはシャルと他の場所で合流するだけだ。
◆
自体はこれで終わったかのように思えたのだ。
◇
その後再びシャルと合流して買い物再開!
「いや〜、今日はいろんなことがありすぎたな〜……」
散々な日になってしまったような気が…しないでもない。
「あはは、ちょっとスリリングになりすぎたね〜」
なんだかんだで笑い合っていられるのだから全然気にすることは無いんだろうな。
「なぁ、シャル?」
ちょっとした考えが浮かんだから聞いてみる。
「なぁに?一夏」
「なにか欲しいものはないか?」
「え、えぇ!?」
いきなり甲高い声でシャルは応答する。
変なこといってないよな?
「ほら、アクセサリーとかだよ、そんなに高いものは買えないけどさ」
(まぁ高校生の財力だしな!)
「あ、アクセサリーかぁ…」
平常心に戻るシャル、何か勘違いでもしていたのか?
「僕は…うーん、そうだなぁ…」
といって悩み始める。
「ほらあそこの指輪とかどうだ?」
何気なく指を指す。
「ふぇえ?ゆ、指輪!?」
シャルが『あ、あの、その』とかいいながらうつむいてしまった。
「あ、なるほど指輪はまだ早いか、あとは…あのブレスレットとかか?」
またしても動揺から平常心に戻るシャル
「う、うん、ぶ、ブレスレットいいね!」
全力で肯定するところをみると、これがいいんだな!よし。
そう言ってブレスレットを購入した、シルバーのシンプルなデザインだ。
「えへへ…一夏からプレゼント!」
そんなこといいながらニコニコするシャル、そんな反応見るとちょっと照れるな。
「気に入ってくれたならうれしいよ」
「うん、これずっと大事にするね!」
この笑顔が見れただけで今日は良しとしようか!うん。
その時だった。
「…のれ!」
「ん?どこかで聞いた声だな」
後ろを振り返ってみる
「おのれ一夏!!」
「え、えぇ!!??」
後ろにはファースト幼馴染こと篠ノ之箒の姿がそこにはあった。
何時にもまして黒いオーラが…
とたんに夏なのに冷や汗がでる。
横にいるシャルも顔が蒼白である。
「あら、どうしましたの?箒…さ……ん?」
箒の後ろからセシリアの声が聞こえる。
考えたくはないが予想は勝手に決まる。
「なにかかしみたいに突っ立っるて…の…よ?」
セシリアに一言放つ鈴だったが途中で気付く。
最悪のパターンだな…。
<シャル逃げるぞ!>
<う、うん!>
即座にプライベートチャンネルで話を決める、しかしそれも空しく終わる。
「なにを三人で突っ立っているのだ!さっさと抹茶を・・・・・・・・」
あ、ラウラじゃん
心の中でいつもどおりの言葉を投げかける、心の中で。
「これは、あれですわね」
「うん、そうね」
「決まっているなこの腑抜けには」
「嫁とあろうがここは容赦せんぞ」
口々にしゃべりだす四人、四天王とはよく言ったもんだ、座布団三枚だな。
もう、市街地云々知らないで逃走と追跡を始める六人。
シャルロットの手を引く一夏
そのシャルロットの腕には夕日照らされて光る一つのブレスレットが一つあった。
Fin
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